ぶつかってしまった拍子に鞄からスタンガンが落ちた。ガチャン、と大きな音を立てて床へ落ちたそれに、今吉はただでさえ細い目を細め、そして口角を上げて鞄の持ち主である花宮を見た。しかし花宮は今吉に見られても眉1つ動かすことなく、スミーズにスタンガンを拾い上げて鞄の中へと戻した。すぐにぶつかる前の花宮へと戻る。
「物騒なもん持ってんなぁ」
 挨拶のように言い、今吉はくつくつ笑いながら恐い恐いと肩を竦める。だが、花宮はそんな今吉に顔をしかめ、あんたより恐いものがあるかと心中で悪態を吐く。と、今吉が酷いわぁ、と何も言っていない花宮の唇を指で突いた。直ぐ様離れる。
「妖怪かあんた」
「妖怪て。なんや花宮、意外とロマンチストなんやな」
「んなわけあるか」
 今吉の指で突かれた唇を袖で拭いながら花宮は気持ち悪ぃと呟く。それを聞いて、今吉がからからと笑う。
「かわえぇなぁ、花宮は」
 うげぇ、花宮は吐くような真似をする。そんな不躾な後輩の態度にも今吉は笑う。それが更に花宮の気分を悪くする。やはりこの人は、性格が悪い。と思いながら。



悪魔使い座
/うまく書けなくてしょんぼり
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -