「お前には無理だ」と赤司は何も発言していない俺に向かって、明日は雨が降るらしいと教えてくれるように、そっと言った。しかも俺を見ずに、タオルを畳みながらだ。パタリパタリと赤司は机や床に広げないまま、綺麗にタオルを畳んでいく。
「おい、何の話だ」
 俺は赤司からタオルを奪い、そのまま丸め、後ろに投げた。きっとタオルはきったねぇ床に落下しただろう。赤司は咎めるわけでもなく、さりとて俺を見ることなく、淡々と指を指した。俺は見なくともわかるくせに、赤司の指すほうを見た。
 シンタロウが、黙々とシュート練習をやり、ダイキとテツヤはパス練習をしていた。シンタロウのシュートは相変わらず長ったらしくて、ダイキはめちゃくちゃなバスケで、テツヤは影が薄すぎた。アツシとリョウタ君はなんか用事があるんだかなんだかでいねぇ。(アツシは確か、赤司に何か言われてた気がする)
「あれがなんだよ」
 くそマジメにバスケしてる奴等を見せられ、胸糞わりぃ。だが赤司は、そんな俺に対しさっきと同じように「お前には無理だ」とだけ言った。目線を動かしてみれば、赤司は俺を見ていた。
「お前には、出来ない」
「ハッ、誰がマジメになるかっての」
 鼻で笑う。しかし赤司はそんな俺を気にすることもなく、ただ俺を通り過ぎて床に落ちたままのタオルを拾った。



ばっちい海
お題>変身
/緑間と黒子呼びは捏造です
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