今日も世界一カッコいいあの人は満面の笑みでバスケをしていた。黒子っちと二人でカッコいいっスねぇ、なんて分かち合いながら眺める。うずうず。青峰っちのバスケする姿を眺めながら、身体が忙しなく動く。黒子っちに大丈夫ですかと言われたけど、気にならない。もう今は、青峰っちとバスケがしたい。試合したい。勝ちたい。青峰っちともっと一緒にいたい。
ん? と、最後のところで首を傾げる。なんで青峰っちともっと一緒にいたいんだろ? いや、不思議じゃないのか。だって、俺は、青峰っちのことが。
その先を掴もうとする。モヤモヤとしたそれは、紫っちが好きそうな綿菓子みたいにふわふわしている。そして掴んだら、きっと壊れてしまうような。
全員集合、と赤司っちの声がする。黒子っちも青峰っちもすでに赤司っちのところへと歩いていた。青峰っちが黒子っちに汗だくのまま肩を組みに行く。あ、黒子っちズルい。自然とそう思ってしまった。何故かはわからない。モヤモヤ。掴めないこの気持ちに、青峰っちと会話する黒子っちに、少しイライラして拳を作ってしまった。なんで、なんだろ。これ。
「おい、黄瀬ぇ!」
青峰っちの声がする。ハッとして見れば、黒子っちから離れた青峰っちが俺を見ていた。そして、早く行かねぇと赤司にしごかれんぞと言ってまた黒子っちと会話をし出した。拳が開く。イライラなんて消えて、モヤモヤは。
拳だった手のひらを見る。そして、青峰っちの背中を見る。きっとまだモヤモヤはわからない。でも、とりあえず今は青峰っちとバスケして楽しく出来たらいいなと、思う。それだけは確かにわかる。だったら、それでいいと思う。
走り出す。きっと青峰っちは黒子っちと会話を楽しんでいるだろうから、その中に飛び込む。そしてまたいつものように会話して、馬鹿みたいにバスケをするのだ。今は、それだけで十分だから。
気付けないくらいの距離
/企画提出文