「やってな、謙也ってかっこええんやもん」
 なにがやってな、や。意味わからんわ。口に出すんも面倒になったから目だけで言うたけど、今の白石は俺と目を合わせんとどっか遠くを見てる。なんやねん。お前がめっちゃ死にそうな顔するからこうやって話聞いてやってんのに。ほんま、死ねばええ。
「謙也がかっこよかったら、なんかあるんか?」
「モテてまうやん」
「ノロケか、殺すぞ」
 ほんま俺優しい。これがお前、財前やったら音楽聴いて無視やで。やのに、白石は「ちゃんと聞けや」と言う。……出てったろうかな。
「あーあ、そりゃあ謙也がモテんのはえぇねんで。どうせ俺のがモテてまうから。けどな、謙也んこと好きになる子て絶対本気やん。きっと謙也のために肉じゃがとか作ってまうような子や……。あかん、謙也がかっこよすぎる……」
「そのまま死んでまえ」
 頭を抱える白石を置いて、教室を出る。部活休みやのに、なに小春との時間減らしてくれてんねん。ダンダンと足音を鳴らして歩く。今から小春んとこ行っても大丈夫かなぁ。小春にえぇ子や言われるかなぁ。小春のことを考えて気持ちを落ち着け、鞄から携帯を出した。相手はまぁ、白石の悩みの種で、用件は白石をどうにかせぇって話や。



正しい突き放し方
お題>容赦
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