お前と俺は似ているな、と赤司っちは言いながら俺を見ずに挿し絵のない本を読んでいた。ふわふわと眠りそうになっていた俺は赤司っちに返事をしなければなと強く思っていたが、瞼が重たくて叶わない。身体がふわふわする。赤司っちに寝るなと怒られてしまうかもしれないのに。
「正直な話、俺以外にもこんな人間がいたのかと思ってしまう」
 どうやら赤司っちは怒らないらしい。その証拠に、俺の返事を待っている雰囲気がない。とろん、とした目で赤司っちを見たら本を読む横顔しか見えなかった。横顔、綺麗だなぁ。
「お前も大変だな」
 それは赤司っちでしょう。とは口に出せなかった。だから心の中だけで言う。俺は、赤司っちほどずっと博愛ではない。赤司っちなら、そんなことなどわかるだろうに。
 だんだんと視界が黒くなる。寝る。寝てしまう。赤司っちに怒られないけど、きっと明日の練習はキツくなる。ああ、でも、赤司っちも寝れば、俺は何のおとがめなしってことになんないっスかねぇ。
 黒くなる一歩前、赤司っちが呟く。
「お前も、誰も愛せないよ」
 そんなこと言わないで。悲しくなるから。



あなたはわたしという回文
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