口の中に指を入れ、舌を撫でるとあからさまに敦の肩が跳ねた。けれども敦の頭の辞書には、僕への抵抗という項目が存在しないので手は行儀よく膝の上だ。だから僕は好き勝手に敦の舌を撫でた。栄養が偏った食生活を送っている敦の舌は汚い。だから日頃から野菜も食べろと言っているのに。軽く溜め息を吐き、お仕置き代わりに舌に軽く爪を立ててみる。また敦の肩が跳ねる。いつも気だるげな目玉が、痛いと訴えているようだが、無視。軽く爪を立てたまま別の指で頬肉を撫でた。ここはつるつるしていて、汚くもなさそうだ。唾液が溢れてくる。敦が苦しそうに言葉にならない何かを発する。それも無視し、爪を立てるのを止め、頬肉と、歯を撫でた。歯もつるつるしている。歯みがきはちゃんとしているらしい。きっと歯みがき粉は、デロデロに甘いのを使っているだろうが。ふと見れば、敦の目玉に薄い膜が出来ていた。
「嫌なら抵抗しなよ」
 頬肉と歯を撫でたり、爪で弾いたりしながら言うと、いよいよ敦の手が動いた。けれどその手は僕の手ではなく、僕の服を握るだけ。何がしたいのと聞くが、当然敦は何も言えない。敦の腕力なら、僕の腕くらい折れるのに。馬鹿な敦。馬鹿で可愛い敦。また舌を撫でる。可愛い敦の可愛い舌。舌足らずに僕を呼ぶ敦の舌。僕以外を呼ぶときは、引きちぎってやりたい。舌に強く爪を立てる。敦が泣き出した。舌を覗けば、小さな血筋が出来ている。指を抜けば、敦の血で僕の指は汚れていた。舌を引っ込め、僕の服から離した手で敦が口を抑える。
「敦のせいで汚れてしまった」
 舌を傷付けられて泣き出した敦に、敦の血で汚れた僕の指を差し出す。すると敦は口から手を離し、傷付けられたはずの舌をおずおずと出し、僕の指を舐めた。舌が赤い。血だ。僕は嬉しくなった。馬鹿で可愛い敦の舌が赤いのだ。敦が指を舐めても舐めても敦の血は当然ながら拭えない。敦がまた泣き出す。
「赤ちんの指を汚して、ごめんなさい」
 舌足らず。僕が傷付けた舌。真っ赤な舌。可愛い敦の舌。僕の言うことを聞く舌。ずっとずっとその舌は僕の言うことを聞くためだけにあればいい。敦の血で汚れた指を舐める。
「敦の味がするね」
 敦が泣きながら笑う。赤ちんには赤が似合うねと言って。赤ちんは優しいねと言って。馬鹿な敦。馬鹿で、可愛い敦。



舌を引きちぎってやろう
レス>アブノーマルな赤司さまとのことで、アブノーマルを模索した結果紫原の血を舐める赤司さまになりました。あれ?アブノーマル?私なんぞの赤紫が大好きだなんて…嬉しいです。そしてあの…もしかして木綿さんサイトやってらっしゃいますか?間違っていたらすみません。リクエストありがとうございました〜。
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