明らかに父親のような大きな手のひらを持っているのも父親のような大きな身体なのも紫原のほうだったが、性格が性格なせいか、紫原は赤司に頭を撫でられることを好んだ。赤司よりも身体が小さな黒子や赤司よりも身体が大きな黄瀬や青峰などの頭は、撫でるほうを好むのに。だいたい、赤司が紫原の頭を撫でるためには、紫原は赤司より小さく屈まなければならない。それでも紫原は自ら進んで屈み、赤司に頭を撫でてくれと請う。そんな紫原に対し、赤司はにっこりと笑い、紫原の望むように頭を撫でる。それは例えるのならば、ライオンとライオンを調教する人間のような図だった。赤司は紫原の頭を撫でるという行為に、確かな優越を感じていた。

 その日も紫原はわざわざ赤司に頭を撫でられるために屈み、赤司はゆったりと椅子に座りながら、紫原の頭を撫でていた。紫原は赤司の手のひらの感触に目を閉じ、赤司の膝に顎を乗せる。
 まるで猫のようだ。ライオンもある意味猫といえば猫なので、赤司の考えは間違っていない。だから赤司が、自然と紫原の頭から顎へ手のひらを移動させ、撫でてしまっても仕方がない。なにより、紫原が本当に猫のようにごろごろと気持ち良さそうにしているのだ。赤司はにっこりと笑い、また優越感に溺れる。試合の時には破壊神や魔王だと言われているような男が、自分の小さな手のひらごときでこんな顔をする!
 赤司は紫原の顎を撫でる。紫原は気持ち良さそうにしている。完全に紫原は赤司に調教されていた。



ゆっくりとどうかしてゆく
お題>名前がない
/フリリク没
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