修学旅行で京都に行くことになった。クラスがざわつく。女子からは黄瀬くんと回りたいとか聞こえた。しかし俺には先約、というか一緒に行動したい人たちがいるので断ろうと思う。というわけで、俺は徹底した。運の良いことに一緒に行動したい人たちの中に含まれている人がクラスにいるので、その人と同じ部屋同じ班になろうと思う。きっと向こうは俺のことなどどうでもいいだろうし、クラスの奴も俺に面倒を押し付けられるとホッとすることだろう。だから多少のことは許してもらえる、はずだ。うん。


 新幹線で京都に行くことになり、俺は紫っちの隣に座ることにした。紫っちは駅で買ったお菓子を食べながら変わりゆく外の景色を眺めている。そして俺は女子があまり話し掛けないように、スルーされることを前提に紫っちに話し掛けまくった。紫っちは俺の予想通りに、たまに返事をするくらいであとはお菓子を食べることと外の景色に夢中だ。本当に子供みたい。
「紫っちは和菓子とか好きなんスか?」
「ん〜、まぁ、好きだよ〜」
「んじゃあ京都で買うんスか?」
「ど〜だろ〜、わかんない」
 バリバリボリボリ。ボロボロポロポロ。紫っちのお菓子を食べるスピードが止まらない。ここに緑間っちとかいたら怒られてそう。想像したら見事にハマる。笑ってしまう。
「黄瀬ちん、どったの?」
「なんでもないっス!それより紫っち、あんま食べると赤司っちに怒られるっスよ?」
「む……赤ちんに怒られるの、やだ……」
 名残惜しそうにしながらも、のそりのそりと紫っちがお菓子を仕舞う。それがあんまりにも名残惜しそうだったから、ついつい、京都に着いたらたくさん食べたらいいと宥めていた。なにをしているのだろう、俺は。けれど、紫っちがうん、と頷いて、黄瀬ちんはやさしーねとか言って俺の頭を撫でてきたので、頭が真っ白になる。いったい俺のどこが優しいのだろうか。やっぱ紫っちはわからない。



へんなこえがした
お題>女顔
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