親以外から、頭を撫でられて誉められるということがなかったせいか、紫原は赤司から何か誉められたりだとかご褒美をもらう時は、大抵頭を撫でてくれとねだった。最初こそはお菓子がいいんじゃないのかと赤司は紫原に言った。しかし紫原は、赤ちんに頭なでなでしてほしいしとはにかむ。そんなに気に入られたのかと驚いたが、悪い気はしないので赤司は紫原の頭を撫でた。

 昼休みに紫原が赤司のクラスへとやって来た。紫原の手には紙切れが1枚。赤司は直ぐ様に今日はテストの答案が返却される日かと思い付いた。ということは、2択だ。紫原のテストの点数が良かったか悪かったか。赤司は紫原の顔を見る。どこか嬉しそうに見える、のできっと良かったのだろう。そもそも紫原はテストの点数が悪ければ、わざわざ赤司のクラスに来るはずがない。
「どうした、敦」
 自分から紫原には寄らず、席に着いたまま問う。すると紫原は先程よりも分かりやすく、えへへと嬉しそうに笑いながら紙切れを赤司に見せた。紙切れはやはり予想通り、テストの答案だった。答案の上を見る。決して綺麗とは言いにくい字で紫原の名前と共に、83点が書かれている。赤司からすればどうでもいい点数だったが、これを紫原が採った点数だと思えばかなりいい点数だ。例えそれが全問記号の社会だったとしても。
 赤司はテストの答案を退けた。
「凄いじゃないか、敦」
「うん!」
 今度こそ紫原が満面の笑みで頷いた。赤司に誉められたのがよほど嬉しいらしい。それなら普段から僕に誉められるように頑張ればいいのに、と赤司は思ったが、それは紫原の頭を考えればすぐに無理だと分かる。それに、紫原にはいやらしい意味で色々頑張ってもらっているので、赤司の中ではプラスマイナスゼロだ。そういえば最近はご無沙汰なような気がする。
「赤ちん〜、なでなで〜」
 いつの間に屈んでいたのか、紫原は赤司の机の上に顎を乗せていた。赤司はすぐにいやらしい思考を止め、紫原の頭を撫で出した。紫原がもっと、と請う。赤司には見えないが、紫原はすでにテストの答案を床に放っていた。
「敦はいい子だな」
「そう?」
「ああ」
 紫原は幸せな気持ちでいっぱいだった。大好きな赤司に頭を撫でられ、大好きな赤司にいい子だと誉められ、しかもテストでいい点数を採れた。これでお菓子もあれば楽園だ。紫原は赤司にもっともっと、と請う。赤司はそれに答えながら、この調子ならさっそく今日にでも家に呼ぼうかとほくそ笑んでいた。本当に、敦はいい子だな。と考えながら。



なでなで
レス>紫原をいい子いい子しちゃうと言うより紫原からいい子いい子して!な赤司さまになってしまいましたが、どうでしょうか?それとリンクもありがとうございます。塁さんのエロが好きです。笑 リクエストありがとうございました〜。
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