学校が終わって、部活も終わって、そして帰り道は黒ちんと一緒にコンビニまで歩いた。なんでも、黒ちんが昨日コンビニで新しいまいう棒を見付けたらしい。俺の家の近くには新しいまいう棒はなかったから、どんなのか気になって仕方ない。黒ちんいわく、たぶん紫原くんも気に入る味だと思います、とのことで。早く食べたい。
 黒ちんと一緒に歩いていると、嫌なものが目に入った。だから歩くのを止めたら、黒ちんも歩くのを止めて俺を見上げてきた。
「どうしましたか、紫原くん」
 首を傾げる黒ちん可愛い、と少し和みながら、電柱のとこを指差す。黒ちんが電柱のとこを見上げる。
「カラス、ですか」
「俺、あれ嫌い」
「何かあったんですか?」
「昔、俺のお菓子取った……」
 今思い出しただけでも怒りと悲しみが蘇る。あの時は今ほど背が高くなかったから、取り返すのも出来なくて、すげー悔しかった。泣きそう。別に今の俺なら、ひねり潰せるけど。
 そっ、と俺の手を何かが掴んだ。黒ちんの手だ。びっくりして黒ちんを見たら、黒ちんが小さい手で俺の手を握ってくる。全然強くないけど、黒ちんなりにぎゅっとしてるのはわかった。
「僕がいますから、大丈夫ですよ」
 行きましょう。そう言って、黒ちんが俺の手を引っ張る。全然強くないのに、自然と足が動く。嫌なものがカァと鳴く。でも、不思議と嫌な気分にはならなかった。



お手手繋いで
レス>仲良しな黒子と紫原ということで一緒に帰らせて手を繋がせてみました。たぶんこの二人なら手くらい繋ぐはず…!ちなみに黒子は紫原がカラスをひねり潰さないように手を繋ぎました。リクエストありがとうございました〜。
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