ひたり、とやわらかですべすべしたおんなの手が俺の頬っぺたを撫でた。そうしておんなは生クリームよりも甘い声を喉から絞りだし、甘い眼差しでまっすぐ俺を見る。「愛しているわ敦。わたしの大切な息子。才能の塊。あなたは才能に愛された幸せな子よ。あなたは他の子よりも優れているのよ。だからあなたは好きにすればいいわ。自由にすればいいわ。あなたにはその権利があるの。あなたは才能があるから、なにをしたって許されてしまうのよ」幼い脳みそにはおんなの言葉の意味はわからない。ただ、自分は才能というものがあるから好きにすればいいということだけはわかった。だから無邪気に俺はおんなの呪いに頷き、さっそくおんなにお菓子をねだっていた。おんなは生クリームのように甘い優しさで俺の頭を撫で、お菓子をくれるからだ。だから俺はおんなからお菓子をもらうために、本当はサッカーがしたいとも言わず、俺はバスケ以外は何も出来ないねとも言わず、バスケをし続けた。おんなは喜ぶ。おんなは俺にお菓子をくれる。そこには昔のような、純粋な気持ちはない。俺はただ、普通に母親がお菓子をくれるような、そんな感じでいいのに。バスケをしなくても、愛してくれるような母親がほしいのに。



そんなふうにおわってく
お題>舌
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