部活が終わり、部誌も書き終わり、俺は先程自分で出したトレーニングをそろそろ終えてくるであろう紫原を健気に待っていた。言っておくがこれは紫原だから待つのだ。これが青峰とかならすぐに帰っている。しかし紫原は別だ。なぜなら紫原は俺が紫原を待っていたというだけで、無邪気に喜ぶから。だから健気に紫原を待つ。あと、一応ちゃんとトレーニングをしたかを確認しておきたいから。本を読みながら紫原を待つ。

 ガチャリ、扉が開く音がしてそちらを見れば汗だくの紫原だった。ようやく終わったか。ほとんど読み終わった本を閉じ、紫原を見上げる。紫原の驚いた目に俺が映り、そして紫原が無邪気に笑った。
「赤ちん、待っててくれたのー」
「トレーニング終わったのか?」
 敢えてそうだ待っていたとは言わない。紫原も無邪気に喜びながらも、疲れたよと自分のロッカーまで行き、タオルを取り出して汗を拭く。どうやらちゃんとしていたらしい。まぁ、紫原が俺の言うことを聞かないわけがないか。
「赤ちん待ってて、今着替えるから」
「早くしろよ」
 晒された紫原の背中を眺める。紫原なりに急いで着替えているので視線に気付かれないので、じっくり見る。やはり背が大きすぎるからか、紫原の背中は大きい。けど猫背なのは少し残念なのかもしれない。可愛いからいいけど。
 紫原が着替え終わるのを見届け、最後まで俺の視線に気付かなかった紫原が帰ろうと促してくる。そんなに俺と帰るのが嬉しいのかと思ったが、気分は悪くないので黙って紫原の横にいく。紫原がへへ、と笑った。気分はむしろ良くなった。



名前を知らないの
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