日本の北側は寒いとは聞いていたが、ここまで寒いとは思っていなかった。どうやら俺は日本を甘く見ていたらしい。窓の外に広がる積もりに積もった雪を見て、俺は直ぐ様に暖房をいれた。そしてまだベッドの上ですやすや眠っているアツシの上に気休め程度に毛布を掛けておく。アツシは寒いのが嫌いだと言っていたからだ。暖房に当たりながら、こういうところが甘いのかなと先輩たちの顔を思い出す。いやでも、アツシが風邪でも引いたら大変だしな。うん。

 1日分の練習が終わり、アツシと部屋に帰り、アツシがすぐに暖房をいれた。なので俺はキッチンに行き、アツシにホットココアを、自分にホットコーヒーを作った。アツシが暖房の前で体育座りになっている。猫背だからすごく丸くなっていて面白い。笑いながら出来たものを各々のマグに淹れて、アツシのとこまで行く。
「はい、アツシ」
「ありがとう〜」
 アツシの隣に座り、一緒に飲む。アツシは猫舌なので、危なっかしげに自分の息で冷ましている。しかし目は早く飲みたいと語っている。
「焦らない焦らない」
「う〜、室ちん〜」
 はいはいとあらかた飲み干した自分のマグを床に置き、敦からマグを奪い、アツシの代わりに冷ましてやる。これ自体は甘やかしてるなと自覚しているが、いつだったかにアツシが「赤ちんが冷ましてくれてね〜」と言っていたので止める気はない。というか赤司くんが止めればいい。
「はい、アツシ」
「んー」
「大丈夫?」
「うん、大丈夫みたい。室ちんありがとう!」
 マグを持ったままアツシが俺に寄り掛かる。反射的に頭を撫でる。うん、やっぱりアツシを甘やかしていいのは俺だけでいいと思うよ。



リボンをください、もうほどけないように
お題>容赦
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