赤ちんは俺が強さの象徴だと言った。でも俺ん中では強いイコール赤ちんだから、赤ちんはなんなの?と聞いたら赤ちんは笑って「僕は強さそのものだよ」と言った。なるほど。確かに。
 試合に負けた。才能がないやつに負けた。頭が真っ白になって、なんのために生きてんのかわかんなくなって、息が出来なくて、死にたくなった。勘違いしてる奴らは次があるとか言うけど、そうじゃない。俺がこんなにも死にたくなるのは、怖いから。赤ちんが、赤ちんに嫌われるのが、赤ちんに捨てられるのが、怖いから。
 きっと赤ちんは負けた俺を捨てる。ごみみたいに、ぽいって捨てる。いらないって。強くない俺はいらないって。それが怖い。赤ちんに捨てられるのが怖い。だって赤ちんに捨てられたら、俺はどうやって生きていけばいいの?息の仕方もわからないのに。赤ちんがいないと、俺はなんにも出来ないのに。
 はっと、客席を見たら、赤色と黄色の目が俺を見ていた。見たくなかった。だって赤ちんが、失望したような、興醒めしたような、そんななにもない目で俺を見ていたから。やだやだやだ赤ちん赤ちん赤ちん捨てないで捨てないで捨てないで。死にたくなった。そして出来れば、赤ちんの手で死にたいと思った。



あの崖からさよなら
お題>女顔
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テーマ「人外ファンタジー」
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