最初に会ったとき、赤ちんは笑顔で俺のすべてを肯定してくれていた。紫原はすごいな。紫原は才能があるな。だから紫原が凡人の気持ちなんてわからなくていいんだよ。赤ちんは笑顔でそう言い、座っている俺の頭を撫でてくれた。その、今まで感じたこともない感覚に俺は胸が締め付けられた。俺は、赤ちんに出会うために生まれたのかもって思うくらいに。
 段々と赤ちんの傍にいることが多くなるにつれ、あれが赤ちんのすべてではないということに気付いた。きっと赤ちんは頭がいいから、俺に何を言えばいいかすぐにわかって、それをただ言っただけなのだ。でも、それでも俺は良かった。だって最初を思い出すと、今でも胸が締め付けられる。幸せだって思える。
 負けてから何のやる気も起きなくて、ただ空に手を伸ばして、手を広げる。赤ちんにすごいと言われたものがぺたん、と潰れる。赤ちんの楯になろうとしたのに。赤ちんに出会うために生まれたのかもって思ったときに、赤ちんに誉めてもらった力で赤ちんの楯になって、赤ちんを守ろうとしたのに。
 赤ちんの試合を見る。あの背中を守りたい。赤ちん。赤ちんがいたから、頑張って生きてこれたの。だから、赤ちんに捨てられないようにまた頑張るから。だから、そこで待っててくれる?俺なんて裂けてもいいから。お願い。
 ごめんね、赤ちん。



ぺっしゃんこ
/BGM楯
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -