真ちゃんと映画へ行こうと決めた日に雪が降った。テレビでは云年振りの大雪だとか騒いでいたが、それどころではない。カーテンを開け、窓の外の銀世界を心底恨む。あーあ、きっと今日の予定はキャンセルに違いない。と思って真ちゃんにメールを送ったら、予定通り映画を観るという返事が返ってきた。え、マジで?

 待ち合わせ場所のコンビニに行くと恐らく今日のラッキーアイテムであろう座布団を脇に挟んだ真ちゃんがすでにいた。ちなみにあとで聞いたら、今日のかに座は一位だったらしい。だからこんな雪の中でも行こうとか言ったのかと呆れる。
「お待たせ、真ちゃん」
「遅い」
 実はここに来る途中、雪道で滑って転けた子供の相手をしていたから遅れたのだが、なんだか嘘臭いので止めた。代わりにコンビニの中でぬっくぬくにあったまっているお汁粉を奢ってやった。真ちゃんはとても満足そうな顔をしていた。

 映画館への道のりでも未だに雪は止まなかった。しかし映画館はちゃんと営業していたし、人もぽつぽつとだがいた。まぁコンビニも営業してたわけだし。こういうとこが日本ぽいのかな、なんて思いつつチケットとポップコーンを購入して劇場に向かう。劇場には俺ら以外には一人しか座っていない。別にもうすぐ終わるわけでもすごいマイナーなわけでもないのにすごく空いてて、ちょっとテンションが上がる。そして映画を観ている最中、ひっそり隣の真ちゃんの手を握ってみたら何事もなく握り返されたのでさらにテンションが上がった。

 映画館を出た時も雪はまだ降っていた。心なしか映画館に入った時よりも積もっている気がする。
「もー、雪やだなー」
 思わず項垂れると、真ちゃんは隣で何か考える素振りを見せていた。なになに、どった。なんて覗き込んだら、真ちゃんは至極真面目な顔で「ならばもう一本映画を観るか」と提案し出していた。え、てか、え?
「え、真ちゃんなんかまだ観たいのあんの?」
「……バカめ」
 心底憎たらしそうに真ちゃんが俺を睨む。けれど俺は真ちゃんの真意がわからない。もう少し詳しく聞こうと思ったら、行くぞとか言って真ちゃんはさっさとまた映画館の中に入っていった。慌てて真ちゃんの後を追いかける。やはり何か観たいのがあったのだろうか。まぁ俺は真ちゃんと一緒に居られるならなんでもいいけど。



ずっとずっとデート
/真ちゃんのわかりにくいデレ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -