カッコいいっすよね、と黄瀬が呟いたので黒子もカッコいいですよね、と呟いた。そんな二人の視線の先にはバスケをする青峰がいた。青峰は汗だくになりながらも楽しくてたまらないように笑いながら、バスケをしていた。ちょうど休憩を取っていた二人はそんな青峰をずっと見ていた。イケメンと影からの熱烈的な視線に気づかないとは、さすが青峰である。
「青峰っちあれで今何点目っすかね」
「あとで桃井さんに聞きましょう」
 桃井、と言われて黄瀬はコートの外を見た。なるほど、確かに桃井の姿がそこにはあった。
 黄瀬は伸びをし、なんでもないように呟く。
「桃っちいいなー」
「なんでですか?」
「だって、青峰っちのサポートめちゃくちゃしてるじゃないっすかぁ」
 黒子は本当に羨ましげに桃井を見る黄瀬を見上げ、そして無防備な脇腹を殴った。黄瀬が変な悲鳴を上げ、脇腹を擦り、若干涙目になりながらも黒子を睨む。
「なにするんすか!黒子っち!」
「すみません。黄瀬くんがあまりにもくだらないことを言うものですから」
「くだらないことって……」
 いててと脇腹を擦りながら黒子の言葉に苦笑する。けれど黒子は黒子のまま、真剣だ。いつだって真剣だ。
「確かに桃井さんのサポートはすごいです。でも、桃井さんはパスをしたりは出来ません。パスなら僕がサポートします。そして黄瀬くんは、青峰くんと一緒にプレーして点を取ればいいんです。それは、黄瀬くんにしか出来ません」
 珍しく饒舌な黒子に、黄瀬は顔をきょとりとさせ、そのあとにそうっすね、とへらりと笑ってみせた。恐らくたくさんの女の子がこの笑顔に失神するのだろうなと思いながら、黒子は頷いた。コートの中では青峰がまた点を入れた。黒子と黄瀬はまた、カッコいいなぁと呟いた。青峰にその声は届かない。



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