幸村の肌の白さを跡部は気に入っている。幸村自身は自分の肌が白いことを気にしているらしく、跡部が褒めてもまったく嬉しそうな顔を見せたことはない。その理由が病気のことを思い出させることは跡部には理解できた。実際、幸村は病人扱いされることをとても嫌うからだ。
 けれど、それとこれとは話が別なわけで。

 跡部は幸村に会うと必ず指輪やブレスレットなどのアクセサリーをプレゼントする。しかも色はだいたい青色系ばかりで、まれに普通の中学生が絶対手にしない云百万云億する宝石などが使われていた。幸村は宝石があれば苦笑しながら断っていたが、それ以外は甘んじて受け取っていた。理由は知らないが、好きな人からもらう物ならばなんでも嬉しくなるくらいの中学生らしさは幸村にだってある。それに、跡部が選ぶものは幸村の趣味に合うものばかりだったので、尚更断る理由はなかった。
 今日も跡部は家に来た幸村に薄水色のブレスレットをプレゼントした。幸村は受け取りながら宝石がないことを確認し、ありがとうと礼を述べながらそれを手首に嵌めた。ちなみに、幸村は気付いていないだけで今までもらった物の中に宝石が使われているものがあったりする。
 自分がプレゼントしたブレスレットを身に付けた幸村を眺め、跡部は満足そうに笑う。実は幸村はこの時の跡部がたまらなく好きなのだが、言ってしまうともう見れないような気がしているので未だに胸にしまったままでいる。つい、と跡部はブレスレットを嵌めたほうの幸村の手を取り、気障に手の甲に唇を押し付ける。まるで忠誠を誓っている騎士のような姿だった。王様なのに。
「やっぱ、綺麗だな」
 唇を離し、そのままうっとりと跡部は幸村の手首の青い血管を眺めて呟いた。幸村の白く綺麗な肌に映る青い血管も、跡部はたまらなく気に入っていたからだ。幸村には、その血管のように青いものがとても似合う。だから跡部は幸村に青色系のアクセサリーしかプレゼントしない。
 幸村はまさか跡部が自分の血管を気に入っているとは知らず、跡部の青い目玉に見惚れた。幸村は跡部の青く美しい目玉を一番気に入っているからだ。それから、その目玉と同じ色のアクセサリーをプレゼントされ、それを身に付けている自分に酔いしれた。二人きりの世界はきらきらと青く輝いている。



愛してるの色
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