久しぶりに見た女はあの時とはまるっきり雰囲気が違っていた。しかし考えれば、私が歳を取ったように彼女も歳を取ったのだから、当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。だから私は、向こうが私を覚えていないであろうことも踏まえ、氷室に彼女の話題を振らなかった。
 手洗いからの帰りに、彼女が飲み物を買う姿が見えた。長く伸びた、目立つ綺麗な金髪にどきりとしたが、彼女は私を覚えていないだろうと頭に留め、素知らぬ顔をし、通り過ぎようとした。彼女と目が合う。彼女が、笑った。
「お、久しぶり!」
 一瞬、私以外の誰かに言ったのだろうと考えた。しかし彼女が自然に、親しげに私の肩に触れてきたので、やはり私に言ったらしい。というか、まさか、彼女が私を覚えていたとは。
「いやー、お前元から美人なのに、また綺麗になったなぁ!」
「お前も、な」
 どういう対応が正しいかわからないから、しどろもどろになる。だが、彼女は気にした素振りは見せず、代わりに氷室について聞いてきた。そこはどうにかちゃんと答えた。彼女は、なんだか安堵した顔になり、よろしくなと肩を組んできた。長く伸びた髪がかかる。そういえば、この髪は変わっていないように思う。



ただ驚いた
/会ってたらなーいいなー
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