アレックスが結婚するのだと聞いたとき、俺は視界の端がぼろぼろと崩れたような錯覚に陥った。バスケが出来なくなったみたいに、息が苦しい。けれど、アレックスはそんな俺に気付くこともなく、幸せそうに照れ臭そうに笑っていた。だから俺は、どうにか笑っておめでとうとだけ伝えた。よせよ馬鹿野郎、とアレックスはばしばし肩を叩く。肩より心臓が痛かった。

 タツヤからアレックスの結婚式に何か贈るか、と電話がきた。俺は電話で良かったと思いながら、適当な声でタツヤに任せると言うと、タツヤはわかった、とすぐに承諾してくれた。これはまぁ、どう考えてもタツヤに任せたほうがいいだろう。センスは悪いが。あ、アレックスに渡す前に確認だけはしなきゃな。
「それにしても、アレックスが結婚とはな」
「なー。考えらんねぇよ」
「けど、相手がバスケの監督だから、アレックスらしいといえばアレックスらしいよな」
「バスケ、好きだからな」
 タツヤとアレックスの話をすると、アレックスとの思い出が駆け巡ってきて、目頭が熱くなる。本当に電話で良かった。
「それにしても、こんなことを言うのはあれだけど」
「なんだよ」
「寂しいな」
 ガツ、と頭を鈍器で殴られた気がした。まさしく、俺が思っていたことだったからだ。そして、タツヤでも寂しいと思うのだと知って、少しだけ安心した。けれど、寂しいということには変わりはない。
「アレックスが幸せにならなかったら、まじ殴る」
「はは、タイガは相変わらずホットだな。まぁ、俺もだけど」
 タツヤも十分ホットだろ。そう言いたかったが、ぐっと飲み込み、そして二人でアレックスの幸せを願った。



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