いつ殺されるのだろう。いつドラマみたいに海に沈められるのだろう。いつ遺書を書かされるのだろう。いつ拷問されるのだろう。いつ毒を盛られるのだろう。いつ、俺を殺すのだろうか。
 零はいつもいつも、そんなことを考えている。それはご飯を食べている時やコンビニに行く時、命を貰って一心同体となった義賊メンバーと会話をしている時。そして、板倉や末崎と関わるたび、零の頭には常にその最悪の『いつ』が蔓延っていた。
 もちろん零はその最悪の『いつ』が未だに訪れていない理由をきちんと理解している。あの在全に文字通り買われたから。だから自分は五体満足で行き長らえていると。
 だが、果たしてそれだけであの時確かにあった殺意は消えてしまうのだろうか。零は思い出す。ミツルたちが捕まったあの絶望を。あの不甲斐なさを。あの痛みを。それはいくら末崎と絆を強めようとも、いくら板倉をいい奴だと思えても、決して消えることはない。それにそもそもは敵だったわけで。だから、零が未だにこうなのだから、向こうだって。
「零、今度飯でも食いに行くか?」
「ああ、いいな」
 零の返事に、板倉は少し機嫌を良くして何が食べたいかを訊ねてきた。なんでも良かったので、なんでもと答える。すると後ろから末崎が和食和食と騒ぎ、板倉は呆れたように兄さんには訊いてませんよと言う。零はそのやり取りを見ながら、ああ今度こそ殺されるのだろうかと予測し、出来ることなら死ぬなら自分だけにしてほしいな、と思った。



ほのぼのサスペンス
/疑心暗鬼な零
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