「赤司くんと付き合ったら息苦しそう」
 練習試合の打ち合わせを終え、少し休んだあとだった。赤司は桃井が何の前触れもなく恋の、しかも赤司についての話を振ったことに驚く。この時ばかり赤司は、女は本当に恋愛話が好きなんだな、と冷静に分析することもできず、ただ呆けることしか出来なかった。そしてそんな赤司を見て、赤司くんもちゃんと男の子なんだなと桃井が笑っていたことにも、気付けず仕舞いだ。しかし赤司はどうにか正気を取り戻し、話に乗る。
 ただ、正気を取り戻したら取り戻したで、話の内容には疑問しか残らないが。
「俺と付き合ったら息苦しい?」
「うん。息苦しそう」
 鸚鵡返し、そしてしっかりと頷かれ、どう返すべきかと思案する。そもそも赤司は恋愛ごとに疎いところがある。疎いというよりも、今は不要であるという認識だ。興味がまるでない。そんな赤司を見透かしたように、桃井がはは、と笑った。
「赤司くん、そんなに難しく考えなくていいのに」
 難しいことを言った張本人はあっけらかんとそんなことを言う。そして、ならばもっと分かりやすく言え、とも思った。桃井は自分を恨ましく思っている赤司を見て、本当に赤司くんは息苦しそうだね、と心中で漏らした。



はっきりさせないことはぼんやりと美しい
お題>羽虫
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