どういうつもりなんだろうねぇ、と臨也が言うので、どういうつもりなんだろうな、と門田は返しておいた。臨也は素っ気ない返事をスルーし、本当に不愉快だよね、と言った。いやいきなり人の昼食中に勝手に相席してきたお前のが不愉快だ、と門田は思ったが、今さら臨也にそんなことを言っても仕方がないという経験と、さっさと昼食を摂りたい欲求から黙っておいた。それにどうやら、臨也は門田の反応よりも、ただ話を聞いてもらいたいだけのように見えた。事実、疑問文を投げながらも彼は門田の返事を聞いていない。
「本当さ、シズちゃんは何様のつもりなんだろうね。腹が立つ。何様のつもりで、新羅に甘えてるんだろうね」
 店員がざる蕎麦を運んできた。門田はそれを受け取り、割り箸を割った。美味しそうだった。ここに臨也がいなければ、もっと美味しそうに見えた。
「新羅はさ、俺もシズちゃんも友達だって言うんだよ。いや、シズちゃんとの付き合いの長さを考えたら幼なじみなのかもしんないけど。でも、新羅はシズちゃんをそう認識してんの。だけどシズちゃんは新羅のことを友達だとは言わないの。首無しライダーは友達だって言うくせに」
 蕎麦を啜る音に混ざり、臨也の言葉が門田の耳に入る。だが、どうでもいい話だったので蕎麦を食べ続けた。臨也は赤い目を細める。
「もしもシズちゃんが新羅のことを友達だって思ってなかったら、シズちゃんから新羅がいなくなっても困らないと思わない?」
 そこで門田は箸を止めた。口に含んだ蕎麦を飲み込み、お茶を飲む。ごくり、と飲み干して、ため息を吐いた。
「お前は本当に岸谷が好きだな」
 そう言うと、臨也は実に嬉しそうに笑った。子供みたいだった。
「やだなぁドタチン、俺は新羅が好きじゃないよ。ただ、シズちゃんよりもずっとずっと新羅を友達だって思ってるだけだよ」
 だから、シズちゃんに腹が立つの。そう続いた言葉に、臨也は笑っていなかった。



いつも恨むは浮気相手
/新羅大好き臨也のシズちゃんへの八つ当たり
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