最近大坪と宮地が緑間に優しい。というのも、もうすぐ二人の好きなアイドルグループのコンサートチケットが発売され、それを常日頃から色々駆使して自分の運を高めている緑間に取ってもらうためである。それにしても露骨に優しい。あの高尾でさえ弄れないほどに。いつものあの怒鳴り声はどこにいったんだお前ら。
「俺は、どうしたらいいんでしょうか」
 先程宮地にお汁粉を奢ってもらったという緑間は、とても深刻な顔をして問い掛けてきた。気持ちはわからなくもない。なんせあの二人の、ファン特有の迫力というかなんというかは見ているだけの俺でさえも困るし怖い。だが、何もあの二人はすべてを緑間頼みにしているわけではない。あくまでも、保険だ。
「そんなに思い詰めなくてもいいと思うぞ? なに、外れても怒らねぇって」
「……だと、いいんですが」
 ポンポンと軽く肩を叩き、珍しく弱気になっているエースを慰める。後ろから高尾が「木村さん俺にも優しくしてくださいよー!」と叫んでいたが無視。を、していたら向こうから大坪がなぜかでっかいウサギのぬいぐるみ、というかウサギの着ぐるみを持ってきた。緑間の肩が跳ねる。大坪の顔は笑顔だった。
「ほら緑間、明日のラッキーアイテム、これだろ?」
「は、はぁ。そうですが、ですがあの、別に着ぐるみでなくても」
「ん? いや、どうせなら大きいほうがいいかと思ってな。それにほら、明日だから」
 どこか照れ臭そうに笑う大坪の背後には緑間が外れる訳がないという文字が見えた。きっと宮地も同じなのだろう。ちら、と緑間を見たら小さく震えていた。そして俺は心の中だけで、緑間すまん、と先程の言葉を撤回させてもらった。



悪運ラッキー
レス>まず完成が遅くなって本当にすいません…。そしてなんだかリクエストに沿えた感じがなくてすみません。というか高尾の出番少なすぎましたね…すまない高尾…。応援メッセージとお祝いメッセージもありがとうございました。頑張ります!リクエストありがとうございました!
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