なぜか幸村に好かれている。というか最近会うたびに好きだと言われている。だからこれは自惚れでもなんでもない、ただの事実だ。それに昔から人からの明らかな好意を受け取ったことはあるので何とも思わない。むしろこれで実は跡部なんて死ね、とかあの朗らかな笑顔で言われたらどうしたものか、と跡部は思ってはいる。嫌われることが怖いからではなく、ただ面倒なだけだが。
「やっほー跡部、好きだよー」
 また幸村は挨拶ついでに好きだと言ってくる。周りの目も気にせず。だが跡部はもはや慣れたもので「よう幸村、元気か?」と普通に返す。さすがはキングである。
「どうにかね。跡部、は元気だね」
「まぁな」
「はは、そんなところも好きだよ」
 また好きだと言う。そしてまた流す。幸村が跡部に好きと言うたびに騒ぐ立海と氷帝を無視するように。幸村はにこりと笑って、今度は流されないように「好きだよ」と言った。跡部はその言葉の裏を探る。どうなのだろう。跡部は幸村が読めない。
 幸村はそんな跡部を見ながら、早く、と心中で呟く。早く、早くそのインサイトとやらで、俺の本心や弱点を見抜いて見せてよ。早く、早く、神様くらい殺してみろよ。



すこやかなやましさ
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