あの背中にはどれだけのものが背負ってあるのだろう。桃井はいつも気が付いたら青峰の背中を見るたびにそんなことを考えていた。別に、桃井に霊感があって青峰の背中に幽霊が見えるわけではない。あるいはまだ、霊感があって幽霊が見える、というほうがいいのではないかとさえ思うことがある。桃井の優秀な眼にはそれらは明確に映ってはくれないのだ。
 青峰がバスケを好きで、青峰はバスケがとても上手いということは気が付いたら桃井の日常だった。何においてもバスケで、バスケのことで一喜一憂する姿には桃井は呆れこそしたが決して嫌いではなかった。だから桃井は当たり前のようにバスケ部に入った青峰を追うようにバスケ部のマネージャーになったのだ。中学校に入っても、青峰は変わらなかった。むしろ、格段に強い相手に笑みを増やすばかりだった。桃井は変わらない青峰が、変わらず嫌いではなかった。
 いつからだろう。桃井はたまに思い返す。いつから、青峰はバスケが楽しくなくなってしまったのだろうか。あんなにも楽しそうにしていたくせに。理由は知っていた。知り尽くしていた。青峰が強くなりすぎたから。天才。と人々は青峰を畏怖するように、敬愛するように、様々な感情を押し付ける。桃井は青峰の背中にはいったいどれだけのそれが背負ってあるのかと、それのせいで青峰が潰れてしまうのではないかと気が気ではなかった。
 だから桃井は青峰の傍にいることを選んだ。桃井では青峰の背負っているものを取り除くことが出来ないとは知りながらも、せめて潰れてしまわぬようにと。
「青峰くん、バスケ楽しい?」
「楽しくねーよ」
 限りなく本音であり、限りなく嘘である青峰の言葉に、桃井はそっか、と呟きながら、ただただもう一度だけでもいいから青峰がバスケを楽しめたらいいな、とだけ思った。



ねがうだけ
レス>はじめまして!リクエスト大変遅くなってしまいすいません。そして台詞無さすぎてすいません…。でも、青峰を心配する桃井さんが少しでも伝わればなぁ、と思います。お祝い・応援メッセージもありがとうございます。リクエストありがとうございました〜。
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