いつもいつもご飯を作ってもらっている。しかも美味しい。あれが食べたいこれが食べたいと言えば、面倒だと言いながらもしっかりと作ってくれる。ご飯だけではない。いつもいつも、なんだかんだと世話を焼いてくれる。お母さんみたいだ。
 鴇時はいつもお世話になっている篠ノ女に、何か出来ないものかと頭を悩ませた。街はすっかりとクリスマス一色な中、鴇時はふらりふらりと歩き、そしてふらりふらりと適当に電気屋へ入った。

 はい、と鴇時に渡された箱にはデカデカと炊飯器の写真がプリントされていた。篠ノ女は箱を受け取りながら、今日は何かあったっけと首を傾げた。しかし箱を開けた瞬間、篠ノ女の頭からそんな疑問はすっぽりと抜け落ちてしまった。
「お前、これ……!」
 恐る恐る箱から出した炊飯器は、以前篠ノ女が家電品を眺めた時に興味をそそられた炊飯器だった。炊けば簡単に料亭で出されるような米が炊けるなどなどの、料理をする人間にはたまらない炊飯器だ。しかし、それなりにいい値段だったために篠ノ女は諦めていたのだが。
 鴇時は照れたように笑う。予想以上に篠ノ女が喜んでくれたかららしい。
「たまたま行った電気屋さんで、安くなってから」
「お前運いいな!うおー、すげー!ちょ、おい、今から込め炊くぞ!」
 いそいそと炊飯器を台所へ持っていく篠ノ女は、新しい玩具を与えられた子供のように目を輝かせていた。そんな篠ノ女の姿に、鴇時は買って良かったと笑った。それに、自分も早く炊けた米が食べたいものだ。



その顔が見たいから
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