キセキの世代は人間ではない。それが帝光中学校バスケットボール部の、キセキの世代の同期にあたる人間の言い分だった。だから、彼らにはこちらがわの気持ちなど理解できないだろうと噂に使った。そしてそれは許された。なぜならば同期は人間だったから。
 恐らく、誰よりもキセキの世代と会話をしていた同期だが、彼らはキセキの世代の扱いを誰よりも理解していなかった。まだ、キセキの世代と呼ばれる前ならば、当たり前のように会話をしただろう。バスケットボールだってしただろう。だが、キセキの世代という人間ではない存在となってしまった彼らには、その当たり前ができない。
 先輩のようにキセキの世代を恐れる気持ちはある。後輩のようにキセキの世代を誇りに思う気持ちはある。だからといって、それがすべてではない。もちろん悔しい思いだってある。すごいと尊敬すらしている。しかし、同期の、キセキの世代に対する思いは、あやふやだった。どうすればいいのかわからなかった。
 だから同期は、キセキの世代は人間ではないと口を揃えて他校に伝えた。彼らを人間だと思ってはいけない。人間ではないから、ただの人間である自分たちを理解することはできず、逆に自分たちも彼らを理解することはできない。そう伝えた。同期は必死だった。何をしたいのかわからないほど必死だった。それでも同期は、キセキの世代に縋るほかなかった。
 ただ、幻の六人目は、悲しい目をしてキセキの世代に縋る同期を見たが、所詮彼もキセキの世代である。影である。人間でいられるどうしようもなくてどうしようもできない同期の気持ちなど、理解できるはずもない。



同期の貴戚
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -