意外なことに桃井はあまり占いを信じないのだという。緑間も占いを全体的に信じているわけではないが、基本的に女は占いを信じて一喜一憂するものだと思っていただけに、驚きが大きい。そんな緑間に桃井はそんなに意外かとくすくす笑う。緑間は笑われたことには触れず、素直に頷いた。第一、鈴を転がすような笑い方をする女には反論すると面倒なのだ。赤司や黄瀬が特に、そのことを言っていたのを緑間は覚えている。
「お前はてっきり、友達とかと雑誌などを見てはしゃいでいるものだと」
「んー、友達の前だったらね、一緒に騒いだりするけど」
「……本当に意外だな」
 そうかな。そう言う桃井の顔は悪戯に成功したように明るい。それはいつもの彼女の顔だ、と同時に見たことがない顔だ。よくわからないギャップのようなものに襲われ、緑間は今日のラッキーアイテムである単3電池を握り締めた。
「あ、別にミドリンを否定とかはしてないからね」
「わかっている」
「まぁ、ミドリンの場合は占いに頼りきってないからいいんだけどね」
「当たり前だ。おは朝の結果だけでは人事は尽くせないのだよ」
 当然のように、淀みなく答える緑間を、桃井は子供を見る母親のような眼差しで見た。なんせ、桃井は知っているのだ。緑間がどれだけ人事を尽くしているのかを。別に桃井だけが知っているわけではないが、桃井は、自分は特に知っていると信じた。そしてだからこそ、桃井は友達のように占いに騒げなくなったし、容易く信じることが出来なくなった。なんせ、緑間を見ていたら占いを信じるということは、その結果通りまたはその結果を避けるために、それなりに頑張らなければならないと教えられてしまうから。



あなたのかみさまのありかた
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -