有名なバンドのジャケット写真を撮り、バンドの人が良かったらと言ってライブのチケットをくれた。かっこよく文字が印刷されたチケットを眺めながら、そういえば笠松先輩ってこのバンド好きだったよなぁと思い出し、バンドの人にもう少しチケットを貰えないかと頼んでみた。

 俺の隣を歩く笠松先輩が会場に近づくたびにガチガチに緊張し出した。そしてその緊張が映ったのか、早川先輩もソワソワしはじめた。そんな二人に小堀先輩は落ち着けよとたしなめ、森山先輩は擦れ違う女の子に見とれていた。
「ば、馬鹿野郎……落ち着いてるよ馬鹿……ああ、今だけは黄瀬が眩しいぜ」
「笠松深呼吸しろ。そんなんじゃ倒れるぞ」
「まぁ、笠松の憧れのバンドだからな」
「そ(れ)な(ら)俺も憧(れ)っすよお!」
「それよりも可愛い女の子どれくらいいるんだろうな」
「……いや、小堀先輩以外、みんな落ち着いてくださいよ……」
 みんなのテンションに、いつかのナンパを思い出す。確かあの時の笠松先輩はもっと緊張していたなぁ。まぁ、それに今日は女の子と会話とかするわけではなく、ただライブを楽しむだけだし。うん、大丈夫、だろう。
 自然と口元が緩む。そうだ、今日は本当に楽しもう。バスケ以外でこうして会うこともあまりないんだし。笠松先輩の肩を叩く。いつもなら飛んでくる拳はないが、それも今だけだ。
「とりあえず、今日は楽しもうっス!」



愉快な日
/ぐっだぐだ
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テーマ「人外ファンタジー」
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