たとえば朝起きて彼女がいなかったらどうしよう。たとえば僕の知らない間に闇と同化して朝が来ても彼女が姿を現さなかったらどうしよう。たとえば、朝起きて彼女に首が戻ってきれいさっぱり私のことを忘れてしまったら、どうしよう。
 夜、愛しのセルティと共にベッドに入りながら俺はそんなことをたまに考えてしまう。もちろん普段はセルティは可愛いなとかセルティはセクシーだなとかセルティのウエディングドレス姿が見たいなとか、そういったことを考える。だがやはりたまに暗いことも考えてしまうわけで。
 首がないせいで端から見れば寝ているのかもわからない彼女がどうしようもなく愛しい。熟睡する彼女の手を握り、その無防備に晒された肩に顔を埋める。セルティの匂いがする。たまらなく幸せだ。宇宙一幸せだ。でもこの幸せがちゃんと明日も続く保障はない。それだけがいつも気掛かりだ。こんなもの、僕とセルティにはいらないのに。
 明日もいつものように彼女に笑顔でおはようが言えたらいい。そして彼女からおはようが聞ければ。当たり前のように俺の名前を呼んでさえくれたら。
 目を閉じる。手は離さない。きっと照れ屋な彼女は起きた時に私に怒るだろうが、その時は怖い夢を見たのだと言って誤魔化そう。それを言えることに喜びを感じて笑ってしまって余計に彼女の怒りを買いそうだが、それもまた幸せなことなのだ。


/不安定新羅。イチャイチャしてない
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