あむ、と可愛らしい音は自分の指を噛む音だと気付いたのは、阿久根の指を口に衡えた善吉と目が合ったからだ。阿久根は何か言うべきかどうかを悩んだ。しかしすぐに善吉が口を離したためにその悩みはすぐに消え、それでも言うべきことがあったので言っておいた。
「人吉くん、ナゲットが欲しいなら普通にあげるのに」
 もそもそと阿久根から奪ったナゲットを食べる善吉にそう苦笑すると、善吉はごくりと飲み込んだ後に「だって阿久根先輩がもしも意地悪したら困りますから」と言った。何気に可愛い理由と、いつまで善吉の中で自分は性格が悪いのだろうかと阿久根は小さく溜め息を吐く。それと。ちらりと指を見る。うっすらとではあるが、善吉の歯形が浮かんでいた。きっといくら隠してもあの目敏い生徒会メンバーにバレてしまうことだろう。はてさてこれをどうしたものか。阿久根はもう一度溜め息を吐いた。



/誰おま阿善。もちろん球磨川にからかわれる
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テーマ「人外ファンタジー」
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