今日は母の日だと阿良々木さんが空を仰ぎながら嘆いておりました。私はそんな阿良々木さんの隣に座り、そうなんですか?と阿良々木さんと同じように空を仰ぎます。空は雲こそぽつりぽつりと存在しておりましたが、やはり青色でした。私が幽霊になって周りの景色は変わっていきますが、空だけは変わらずにいてくれます。思えば、私が今のところ一番長いお付き合いをしているのは、空なのかもしれません。
 空を仰ぎ、私が死んだ母の日を思い出します。あれは今でも悔しいとは思っております。なんせ、私は結局お母さんには会えなかったのですから。私は永遠の迷子となりました。ずっとずっと死んでからもお母さんの家を捜しておりました。その時も、空だけはずっと私と付き合ってくださったのです。
 いつの間にか、隣に座っていた阿良々木さんが空を仰ぐのを止めておりました。私も阿良々木さんと同じように止めて、この後にまた始まるであろう阿良々木さんとの、楽しい会話の準備を心の中で始めました。阿良々木さんとお話するのは、とても楽しいのです。
「はーちーくーじー!」
「ぎゃー!」
 私は母の日が好きです。後悔はありますが、とりあえず死んだ後の今もこうして誰かと楽しくお話が出来るので、私は幸せです。



あの日
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