暇になったからちょっと地上に降りてみた。まー、俺が死んだのは結構前だし、つか、まず俺の肉体が死んでないから俺は結構中途半端な存在だから地上に降りれるんだけど。
 とにかく暇で、少し気が向いたから地上に降りてみた。は、いいが。よくよく考えたら俺が地上に降りてもすることがないような気がする。だってコクトーはきっと俺が見えないだろうし、式には最悪殺されるかもしれない。他に知り合いもいないし、どうしようかな。つか、ここどこだろ?誰かの部屋っぽいけど。
「……お母様?」
 少女の、声が後ろから聞こえた。俺が見えるんだラッキーとか思いつつ振り返れば
「………あ、」
 そこにいたのは、コクトーと式の娘、だった。


「では、貴方はわたしのお父様ってことなんですね」
 目の前の少女、未那はなんだか嬉しそうに俺を見ていた。俺はそんな未那に「お父様って柄じゃねぇよ」とだけ笑っておく。しかし、確か俺が最後に未那を見たのは(しかも上から)確か3年くらい前な気がする。
見た目は母親似ってとこだな。将来は美人決定だ。はは、なんか親バカみてぇ。
「お父様」
「んー?なに?」
「お父様は、パパのことが、好き、なんですよね」
 未那は確かめるみたいにそう言った。俺は返事に詰まった。
「あー、いや、んんー、ま、ぁ、好き、だな。うん、好きだな」
 確かめながら返事をする。しかし未那はそんな俺によかったと安堵したみたいに笑う。あ、なんか式が笑ったみたいでいいな。
「あのね、お父様」
「おー」
「もし、もしお父様が生まれ変われるのならば、わたしとパパの子供に生まれてきてくださいね!」
 未那はすごく楽しそうに提案する。この子は親子でそういうのがダメだって知らないのかな。いや、知ってて言ってるっぽいけどさ。でも、気持ちはわからなくもないから。
「気が向いたらな」
 触れは出来ないが、未那の頭を撫でる。未那は撫でられていたいくせに、嬉しそうに目を細めていた。



気が早い
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