全員が集まったところで俺たちは各々で買った線香に火を点けた。ゆらゆらと煙が空へと昇る。見上げた空は美しいほどに真っ青だった。
「青だねぇ」
 最初に口を開いたのはやはり兎吊木だった。しかし奴の口元はいつものような弧を描いておらず、やはりいつもの白いスーツでないと何も出来ないのだろうと思った。空は美しいほどに真っ青だった。俺たちは全員真っ黒なスーツを身に纏っていた。だれもが黙って煙が空へと昇っていくのを見つめていた。線香の匂いがじっとりと、スーツに吸い込む。
 一番最初に泣いたのは、滋賀井と、驚くことに式岸だった。二人は声を上げることはなかったが、互いに空を見上げて涙を流していた。それに釣られて一人、また一人と涙を流して空を見上げた。そして気が付けば、俺も涙を流していた。
「青だねぇ」
 兎吊木の声がした。見れば、兎吊木も泣いていた。全員が泣いていた。いつのまにか煙は耐えていた。今日は葬式だった。俺たちだけの葬式だった。(蒼色が、幸せになる日。俺たちの蒼色が、死んだ日)



あなたがしんだひ
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