七花は可哀想な奴だ。いや、七花は刀だから可哀想な刀というべきなのか。とにかく、わたしが言うのもあれだが。七花は可哀想な存在だ。
「七花、わたしが好きか?」
「何言ってんだよとがめ。俺はあんたを愛してるんだぜ」
「……そうか」
 七花は可哀想な存在だ。しかしわたしは同情などはしない。だってわたしは七花が憎い。憎い。だからわたしが七花を好きになることもなければ、わたしが七花を救うこともなく、七花がわたしを救うこともない。
七花は可哀想な存在だ。わたしはそれをいつだって知っている。馬鹿な七花。わたしはそれをいつだって利用する。
「七花、七花」
「なんだよ、どうしたんだよ、とがめ」
「もっと、もっとわたしに惚れろ。七花」
「あぁ。そんなの、今さらだけどな」
 可哀想な七花。馬鹿な七花。だから、貴様が死ぬ時はせめて、わたしが最後を見送ってやろう。



ずるん
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