父さんの命令に従ってみんな自分の名前を捨てて宇宙人になってしまった。もちろん俺も捨てた。捨てたけれど、でも俺はそもそもヒロトなんて名前じゃなかったから捨てたけれど捨てていないような気がした。それでも俺の名前はヒロトだった。偽りだろうとなんだろうと。
「グラン」
玲名はウルビダと名乗るようになり、俺のことをヒロトではなくグランと呼ぶようになった。彼女は自分を捨てることを躊躇わなかったすごい女だ。父さんのために死にたいくらいらしい。気持ちはよくわかるが、俺はそんな彼女が怖かった。でも一番怖かったのは、彼女にヒロトと呼ばれることがないことだ。
「玲名」
「やめろ、私はウルビダだ。私は人間じゃないんだ。そうだろ?グラン」
嫌だった。とても嫌だった。好きな子に名前を呼ばれないことが、とても嫌だった。玲名、玲名。僕はヒロトだよ?
るろろ
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