ダイヤモンドはいつも真っ黒な四角い小さな箱を持ち歩いていた。着ている服がサイケ以上に真っ白だから余計にその箱は目立つ。ダイヤモンドはどんな時もそれを離すことがなかった。
「その中にはなにが入っているんだ?」
 耐えられなくなって、ダイヤモンドに訊ねればダイヤモンドはとてもやさしい笑顔で「指輪だよ」と教えてくれた。そして中身も見せてくれた。綺麗なダイヤモンドの指輪だった。ダイヤモンドに似合いそう。
「いつかね、ある人に渡そうと思っているんだ」
 ダイヤモンドは箱を閉じて、津軽にはそんな人いないの?と訊ねてきた。でも俺にはそんな奴はいないし、今は指輪なんかよりも飯が食いたくてしょうがない。そう言えば、ダイヤモンドは津軽らしいねとゆっくり笑ってそれじゃあご飯を食べようとまた箱を持って俺の手を引いた。



宝物だよ
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