どうすればこのどうしようにもない想いを伝えることが出来るのだろうか。ぱくり、とパフェをスプーンで掬い、口に運びながら静雄は自分の反対側に座ってコーヒーを飲む新羅を見た。ぱくり、口の中で生クリームの甘さと苺の酸味が交ざりあう。だというのに、胸の中はブラックコーヒーを飲んだかのように苦く重い。どうすればこのどうしようにもない想いを伝えることが出来るのだろうか。静雄はどうして自分はこんな奴を好きになってしまったのかを悔やんだ。
 もしも新羅が、普通に女が好きだとか言っていたら。静雄はもう少しだけ気持ちが楽だったのかもしれない。だが、新羅がこの世で愛し、新羅の世界の軸として存在している彼女は、女であり化け物である。静雄は自分も化け物だと思ってはいるが、どうしたって静雄は人間だから、叶うこともない。そもそも、もはや新羅の人生だと言っても過言ではない彼女に、自分がどうやって叶うというのか。静雄は泣きたくなる。
 ぱくり、生クリームの甘さと苺の酸味が交ざりあう。だというのに、胸の中はブラックコーヒーを飲んだかのように苦く重い。どうすればこのどうしようにもない想いを伝えることが出来るのだろうか。
 どうせならば、人間として産まれたくなかったと、静雄はいよいよスプーンを折り曲げた。


ああ痛い
お題>女顔
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テーマ「人外ファンタジー」
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