今日もわたしが住んでいるマンションで、幹也とふたり、扇風機にあたりながらのんびりとした時間を過ごしていた。こういうのを、しあわせだというのだろうと思いながら。
「ねぇ、式」
 扇風機の風に混ざって、幹也の生ぬるい声が聞こえる。わたしはなんだ、と返して横目で幹也を見た。幹也はどこか真剣な、だけれどもやさしい笑みをわたしにだけ向けていた。わたしも幹也に顔を向ける。
「結婚、しようか」
 こぼれた言葉は、扇風機の風なんかに混じることなく、わたしの鼓膜を叩く。そして知らず知らずに、わたしは泣いていた。
「いい、のか」
「うん」
 幹也がわたしから離れないのは知っていた。わたしが幹也から離れないのは知られていた。それでも、わたしは、その言葉が、とても嬉しい。



結婚しようよ
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