人吉くんと阿久根先輩はすごく微妙な距離を保っているように思うの。まだ私が生徒会に入りたての頃は、もう少し線があったように思うのだけれど、それがだんだんと薄くうすぅくなって、でもまだあやふやな線が残されている。みたいな、そんな感じ。
 黒神さんと私に対してはその線はない。それは純粋に嬉しい。あぁ2人はちゃんと私のことを仲間だと思ってくれているんだなって。黒神さんは言わずもがなで。でも、それでも人吉くんと阿久根先輩はお互いに関してだけは、本当に微妙な距離を保っている。なんでなんだろうって思う。
「ねぇ、黒神さん。人吉くんと阿久根先輩は仲悪いのかな」
 耐えきれなくなって、ある日ぽろっと黒神さんに言ってしまった。でも黒神さんは一瞬だけ目を開けて、すぐに凜っ!とした自信満々な笑顔になって私に諭してくれる。
「心配などいらぬぞ、喜界島会計。あやつらはあやつらなりに、きっと私たちが知らぬ内に仲良くなるさ。もしかしたら、今こうして私たちが会話をしている間に、喜界島会計が心配する必要もないほどに仲良くなっておるかもしれん。なにより、私たちがあやつらと仲が良いのだ。あやつらも仲が良いに決まっているだろう」
「そ、うだよね、うん、そうだよね!」
「うむ」
 黒神さんは本当に凄い人だと思う。だってその力強い言葉だけで、こんなにも私を安心させてくれる。私はなんて素晴らしい友達を持ったのだろう。
(これでまだ人吉くんと阿久根先輩の仲が微妙だったら、私が出しゃばっちゃうんだから!)
 そしてちゃんと2人が仲良くなったら、みんなで遊園地に行こう。私はそう誓って、早く仕事から2人が帰ってこないか、黒神さんと2人で待っている。



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