今日も僕のフロアに人吉くんが来てくれた。ここのところ毎日来てくれていて、僕はとても嬉しくてたまらない。友達っていいな、なんて羨ましく普通の人たちを見ていた頃が懐かしい。今では僕もその普通の人たちの仲間入りだ。人吉くんとは今日あったことを話したり、人吉くんがもらってきたというお菓子を一緒に食べたりして時間を過ごしている。
 でも、やはり僕が今まで友達が、というか人と接する機会が少なすぎたせいか、話の間に沈黙が出来てしまったりする。そうなると僕はとてつもなく慌ててしまう。だってそんな、人吉くんに面白くない奴だとか言われて嫌われるのは、嫌だ。でも基本的に外に出ないようにしている僕には人吉くんみたいに話題のバリエーションがない。クラスメイトともあまり会わないように(というかクラスメイト自体があまり登校してこない)しているから、ああどうすれば!
「あの、宗像先輩」
「な、なにかな?」
「いきなり墓を切ってどうしたんすか?」
 人吉くんが指差すほうを見る。……あ、ほんとだ、いつのまに。そこには見事に真っ二つになったお墓があって、各言う僕の手には刀が握られていた。確かにお墓を真っ二つにするくらいなら簡単だけど。
「いや、すまない人吉くん」
「いいっすよ。それにしても宗像先輩、すごいですね」
「そう、かな」
「はい!」
 人吉くんの笑顔を見ていると、胸の辺りがあたたかくなる。そして、いつものように殺したいなぁって考えてしまう。でも僕はどうにか殺人衝動を抑えつつ、人吉くんの頭を撫でる。あ、僕はちゃんと人間に触れている。嬉しい。人吉くんありがとう。



ぼくたちは親友
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