「ハスミンってわたしのこと好き?」
服を着ない代わりに毛布にくるまったまま、美彌は蓮実に静かに投げ掛けた。ズボンだけを履いてミネラルウォーターを飲んでいた蓮実はその問いに、どうしたと笑ってペットボトルの半分ほどになったミネラルウォーターを美彌に渡す。美彌はそれを受け取り、毛布にくるまりながらも身体を起こし、そのままがぶがぶと飲み干していく。その姿を見ながら、あれだけ喘げば喉も渇くかと先程までのことを蓮実は思い出していた。
ミネラルウォーターが無くなり、美彌は空になったペットボトルを蓮実に渡した。ペットボトルをゴミ箱に投げる。
「だってハスミン、好きとか言ってくれないんだもん」
「そうか?」
「そうだよ」
唇を尖らせる美彌に蓮実は若いなぁと苦笑する。それと同時に可愛いらしいとも思った。こういうところは、同じように肉体関係を持つ田浦にはない。蓮実は髪を乱すようにわしゃわしゃと美彌の頭を撫でた。やめてよー、ととても抵抗しているとは思えない声に満足する。
「参ったなぁ、美彌なら言わなくてもわかってくれると思ってたんだけど」
茶化すように言うと、美彌は唇を尖らせたまま蓮実を睨む。予想以上に可愛いその姿に見入っていると、美彌が自分の頭を撫でている蓮実の手を退けた。
「わかってるよ。わかってるけど、でも不安になるの。わたしだけがハスミンを好きなんじゃないかって」
後半につれ、弱々しくなる口調に蓮実は内心ほくそ笑んだ。美彌の蓮実に対する依存心が強くなれば強くなるほど、扱いやすくなる。概ね順調だ。
蓮実は美彌を抱き締めた。
「不安にさせてごめんな。俺は美彌が一番大切だから」
「本当に?ハスミン、わたしのこと、好き?」
「ああ、もちろん」
抱き締めているため、残念ながら顔は拝めないが、背中に回されたか弱い腕が強く巻き付いたのをしっかりと感じたので、良しとする。どうやらはぐらかされたことには気づいてはいないらしい。蓮実はさらに強く美彌を抱き締め、そしてそのまま共にベッドへと倒れた。
上手も上手