蓮実聖司が強姦された。それも一人ではなく、五人相手だ。蓮実を強姦した五人は前から蓮実に心酔している連中だった。女でないことが残念だが、いい手駒になるからと放置していたのがどうやら仇となったらしい。確かに蓮実は彼らが自分に多大なる好意を寄せていることは知っていたが、まさかそこに性的な意味合いが半数を占めていたとは。
 しかも一人ではなかったことが、余計に腹が立つ。ついでに殴られた頭が痛い。そして嫌々ながらに、今まで陵辱してきた女の気持ちを少しだけ理解し、蓮実は舌打ちをしかけ、喉の奥に押し込む。今の蓮実は、予想外の展開に驚き、さらに自分の肉体をいいようにされて放心している、という設定なのだから。被害者面は得意だ。
 五人の内の誰かの家の床で体液まみれになりながら倒れた蓮実を、五人の男は見下ろしていた。すでに男たちは乱れていた服をきっちりと着替えており、蓮実をどうするかの話し合いをしていた。蓮実は放心したフリをし続けながら、風呂や着替えという単語を拾い、しばらくは男たちが自分に危害を加えようとしていないことを察した。まぁ、恐らくは男たちの中では強姦も危害の中にカテゴライズされず、愛が行き過ぎただけという馬鹿げた話なのだろうが。
 それよりも、風呂に入れてくれるのならば、早くしてくれないだろうか。身体中はベタベタして気持ちが悪いし、あらぬ所から体液が溢れているだけで放心したフリをするのを止めて今すぐ殺したくなる。蓮実は誰か早く動かないかと、痙攣したフリをして足を跳ねさせてみた。すると、何人かがすぐに気付き、いいから風呂場に運ぶぞと言った。蓮実を陵辱したように男たちが蓮実を囲み、蓮実の身体を風呂場まで運ぶ。蓮実は、わざとらしく小さく悲鳴を上げてみた。歩くのは止めなかったが、一人が蓮実の名前を呼ぶ。気色が悪い。
「蓮実さん、今からお風呂に入れてあげますからね」
 優しく言われ、蓮実は先程の性欲の塊のようだった下品な声はその喉のどこから出たんだと笑いたくなった。だが、ここで笑うわけにはいかず、その代わりにうっすら開けていた視界を全開にし、全員が蓮実を風呂場まで運んでいることを確認する。まったく、なんてお前らは馬鹿なんだ。だからこそ、いい手駒になると思ったのだが。
 脱衣所を通り越し、蓮実を含めた全員が風呂場に入った。非常に都合がいい展開だが、なぜこいつらは全員で風呂場に入ったのだろう。蓮実はフリを半分止め、静かに観察する。すると、微かに男たちが再び興奮していることがわかった。さんざん犯して、まだ足りないらしい。本当にこれだから、ゲイは気色が悪い。風呂場のドアの鍵が掛かる。乱入者など来ないだろうに、それとも、ただの習慣なのか。いずれにせよ、これで蓮実が何かを気にする必要は無くなった。
 とりあえず先にシャワーを浴びたい。どうせ後で、また浴びることになるのだけれど。



ゲイ術家(笑)
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