未彌と
「ハスミン誕生日いつー?」
「12月25日」
「え、クリスマスじゃん!すごーい!」
「そうか?」
「うん。ていうかハスミンとクリスマスって似合わないね」
「なんで?」
「なんとなくー。んー、でもそうか、クリスマスかー。じゃあ、ハスミンの誕生日はクリスマスプレゼントと一緒にするね!」
「楽しみにしてるよ」


憂実と
 聖司くんて誕生日いつなん、と石田憂実が何気なく蓮実聖司に訊ねた。密かに蓮実に想いを寄せる女子たちが聞き耳を立て始めたのを感じながら、蓮実は躊躇うことなく日にちを告げる。すると憂実は、え! と瞬時に目を輝かせた。聞き耳を立てていた女子も、憂実ほどではないが、騒がしくなった。その反応に蓮実はうんざりする。
「聖司くん、クリスマスやん、それ」
「そうだな」
「えーやんえーやん、クリスマスに誕生日とか。おめでたいことが1日に2個もあって、お得やん」
「そうか?」
 そーやで。愛嬌ある笑顔のまま、憂実が頷く。正直、蓮実にはなにがお得なのかはわからないのだが、蓮実に感情を教えてくれる憂実が喜んでいるので、しばらくは自分はこのことを喜んでおくべきなのだろうな、とだけ思った。

蓮実聖司
 狭くて暗い、しかし暖かかった場所から吐き出され、蓮実聖司は泣いた。当たり前だが服は纏っておらず、むしろ血などがべったりと着いてどろどろだ。蓮実聖司は大きく泣き叫ぶ。本当は泣き止みたいのだが、恐らく泣くのを止めてしまうと面倒なことになるだろうから止めることが出来ない。蓮実聖司は、うんざりとした。この世に産まれたせいで、これから死ぬまで蓮実聖司にはこういった面倒が付きまとう。看護師に身体を拭いてもらい、すっきりする。ここらで大きな泣き声は止め、ぐずるようにする。喉が痛い。早く潤したい。蓮実聖司はそう思ったが、看護師はそんなことなど知らず、身体をある程度綺麗にした蓮実聖司をタオルに巻き、蓮実聖司を産んだ女に渡した。
「元気な男の子ですよ!」
 蓮実聖司のことをなにも知らず、疑うことなく告げた看護師に安堵する。赤ん坊らしく弱々しく泣きながら、蓮実聖司は自分を産んだ女を見た。汗だくで、しかし嬉しそうに、愛しそうに蓮実聖司を見詰めている。看護師から蓮実聖司を受け取り、抱き締めるその腕には紛れもなく慈愛が満ち溢れていた。蓮実聖司は、そんな女を眺め、ああ本当に自分はこんな世界に産まれてしまったのかと実感した。ので、蓮実聖司はそのことを訴えるように再び泣き叫んだ。蓮実聖司を産んだ女と看護師はそんな蓮実聖司を、可愛いと言った。


この世に産まれた化け物に愛を
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