▼華の香り










ふわりと芳しい香りは愛しい人の物。

香水とかには一切興味なかったけど、
この良すぎる記憶力でなくても覚えたと思うソレは
酷く甘美で酔いしれてしまう華の香り。

愛おしい彼女を抱き締めればいつだって手に入る、
思考を惑わす危険な香り。


しかし、今日のは何処か少し違う。
いつもの誘惑するような甘さが弱い。




「リナリー、ソレって…」
「あ、やっぱりわかった?
●●が貸してくれたの!」



道理で。
香水と言うものは付けている人の体臭と混ざり合うため、
同じ物でも付ける人が違えば違った香りを放つと
前に●●が教えてくれた。



すれ違った人物は仲の良い戦友で。
そう言う彼女は今、任務で数日間側に居ない。









―――ちょっと逢いたくなってしまったさ。



何時も忘れてはいけない、
自分は歴史の傍観者。
何事も執着してはいけない。
何も望んではいけない。

そんなオレを誘惑する●●。
や、そんな聞こえの悪いモンじゃない。
勝手に誘惑されてるんだ、オレが。



背の高い彼女は他の子と違い、
隣に立つと顔の距離が近い。
その距離で屈託のない笑顔を向けて、
優しい声でラビ、って呼ぶんだ。


泣きたくなる程愛おしい。












『…ラビ、』




ふわり。
今度はちゃんといつもの香り。

いつの間にか眠ってしまった自分の隣。

帰還後直ぐに来てくれたのか、
いつも任務に持っていく小さな鞄が目に入った。


首に手を回し引き寄せると大人しく収まる●●。
鼻腔を擽る彼女の香り。
甘美な微睡みのような、
二度と手離せないソレ。










「おかえり、●●」
『ただいま、ラビ!』




どうやら彼女の歴史に関して、傍観は出来そうにないみたいだ。






end

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□あとがき□


400hits
リクエスト通り書けたか些か心配ですが、
相互リンクして下さっている梦様へ!



ラビ甘でした!

自分的に超あまあま!
ラビの思考が!(笑)


ラビは求めまくれば良いと思います。
勝手な考えですが^_^;


梦様、
良ければお持ち帰りください!



20110816

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