▼カルメンに焦がれた













「なんかさ、カルメンの様さ。」








惹き付けるくせに靡かない、と拗ねた口振りで呟くのは
次期ブックマンでもあるエクソシストのラビットボーイ。

自席に座るアタシの髪に触れながら、
隻眼が向けられた。









彼はここ数ヵ月、アタシの仕事場でもある医務室に
暇があれば脚繁く通っている。


ソレは彼が怪我をしたから、
と言うわけではない。

カルメンに群がる男達の様に
毎日愛の言葉を伝えに来る。










『じゃあ貴方はドン・ホセの様にアタシを殺すのかしら』

「そんな事しねェよ。でも気持ちはわかるさ。」








ハハ、と軽く笑いながら、
片手で後頭部を掻いた。


デスクに腰かける彼のせいで書類が見えない。

何かしら毎度邪魔をされるのだ。

下敷きになった書類の安否が問われる。
















「と言うかドン・ホセの様に無口なユウが好きなくせに。」





そう。

このラビットボーイはアタシが
あの日本人エクソシストの事を男として好いていると勘違いしている。
(無愛想は勘弁。
コミュニケーションが取れないとか無理だし。)




因みに最近入った白髪アンラッキーボーイも (年下過ぎるし) 、
有能な科学班班長も (無精髭無理だし) 、
我等が室長も (お騒がせレベル高すぎるし) 、

…後は誰か居ただろうか?







取り敢えず彼らを恋愛対象としては見ていないのだ。










最近ぐんぐん背が伸びて、
2つ年下だとは思えない程大人びてきたラビが
時たま見せる子供のような拗ねた表情。

実はコレが凄く愛おしいのだ。












苛めるのはコレくらいにして
そろそろ大団円を迎えようか。

首に巻かれたマフラーを引っ張り、
目線を合わす。





『ホセよりもエスカミーリョの様な
色男で付き合いやすい、ラビの方が好きなんだけど。』





軽くリップ音をたてながら、彼の頬にキスを落す。











(好きさ―!!!)
(はいはい)



end



.



□あとがき□


ラビ、HAPPY BIRTH DAY!

birthday用に拍手ページに載せたものでした。



確か本屋でカルメンを立ち読みしたので。





20110810



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