▼トリッキー少年とホームレスと。









『あら、今日は一人なんだ!』

「うっせぇー…」









珍しい、と一人で行動しているのが信じられないのか、後からジャスデロが来てないかキョロキョロしている。




この女と出会ったのは二ヶ月以上前。
人に借金を押し付ける某くそエクソシストの元帥を探してる最中だった。

やっとクロスの手がかりが!ってテンション上がったのに、向かった先にはこの女。
その後クロスを追う度、居やがる。




証拠も核心も無いが、クロスの仲間だと思う。
ジャスデロは違う気がするよとかデロデロ言ってやがったが、怪しすぎる。

いつも問い詰めようとしたら逃げられんだよ。
無能な一般人ならオレらから逃げれる筈ねェ。





ジャスデロは?何で一人?と呑気な態度にも、いぃ加減クロスがヤれない事にもマジでムカつく。
それもこれもお前のせいだ。




「今日と言う今日は吐いてもらうぜぇー!」



近くにあった木の棒で殴りかかる。
卑怯で結構。
女相手でも関係ねェ。
それにこんな事でやられる奴ならとうに吐かせてる。

ひらりと攻撃をかわしやがるのが頭血を上らせ、イライラが頂点に達した。





「…本気でいー加減にしろよ、●●!」


長い髪をつかんで押し倒す。
初めて会った時、ご丁寧に名乗りやがったこいつに馬乗りになり、両手首を掴んだ。

オレが本気を出せばこんな女楽勝。
ガキだからってナメてね?
下に居る人物に冷たい目線を送れば、見開かれる栗色の目。

ちょ、オレ勢い余って何やってんだよ、と我に帰った瞬間だった。








「…何でそんな事になってんの?」


煙草がポロっと言う音をたてて落ちる。
そこには見覚えのある家族が。
その横には片割れのジャスデロもこちらを指差しながら立っている。


いい加減退けよ、と体を押されるまで呆けてしまった。
痛かったと手首を擦る●●に近寄る二人。
何、意味わけかんねェ。


「どぉゆー事だよ、ホームレス」


ドスのきいた声をむける。
ヒヒッ、と声を上げながらソレを見ていたジャスデロが今にもキレそうなオレに駆け寄った。
もうマジでうぜェ。




新しい煙草をくわえて●●の腕を擦っているティキも、いつになく大人しい●●も、借金を押し付けるクロスも。
全員消えろ。
イライラが募る。











「ノアなんだよ、●●は。」


最近覚醒した、と言いながら近くにあった岩に腰を掛け紫煙を吐き出した。
…ホームレスが何本も煙草吸ってんじゃねェ。


「じゃぁ、なんで毎回クロスの手がかりに居んだよ」





オカシイだろ、普通。

初めて会った時ノアだって言ェよ。
しかも何、先回りしてんだよ。

イライラしてティキに立てた中指を向ける。








「だってお前怪しんでたろ」


紹介しようとロードの扉で先回りしてたけど、面白かったから、と笑いやがった。
マジでナメやがって。
ふざけんなって。
ティキの顔に脚を降り下ろすも腕で止められる。


不意にデビット、と名前を呼ばれた。
そしていつものようにふわりと笑ってオレの髪を撫でる。


『これから宜しくね』


「……しねェよ」





デロもデロも!とはしゃぐ片割れの腕を掴み、●●から背をむける。



「帰るぞ、ジャスデロ」



中指を立てて舌まで出して悪態をついてやった。











悪態つくだけで、帰って行った双子。
マジかよ、と溜め息が出てしまった。

『どうしたの?ティキ?』

不思議そうにこちらを見つめる●●に、何でもないと返す。







いつも顔色の悪いデビットの頬が少し赤かった、何て絶対言ってやんねぇ。
まさかの恋敵の出現に、頭が痛くなった気がした。












□あとがき□

短編を…と思い立ったのが数時間前。

勢いで書いてしまったのでちょっとキャラ崩壊…?

デビットはやんちゃなツンデレで、ジャスデロはちょっとお馬鹿で可愛いイメージで書きました!


デビットオチで書いてた筈がティキ、主張してましたね。。。





最後までお付きあい、ありがとうございました。





20110727







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