”悪”の一端


「申し訳ございません!私の目が行き届いていなかったばかりに…このような状態になってしまい…!全ての責任は私にあります…!」
「ああ、大丈夫。気にすんな」
「ワルター様…!」

額を地面にこすり付けていた彼が顔を上げる。
その目には涙がたまり、崇拝するが如く感謝の念を上司であり主でもある彼に向けた。

「元々そこまで期待してないからそんなに背負い込むなよ。な?だから、これからも頑張れや」

その視線の先に居る彼は何でもないように、部下を傷つけた。

「…は…?」

その言葉に部下の彼は一言言葉を漏らし絶句した。
何の迷いも無く冷徹な言葉を投げつけれることができる彼も、悪魔の一端であるのだ。


「全部自分のせいだって思うのもまた傲慢だと思わないか。
そもそも、お前の言動にそれほど耳を傾けてなど居ない」

なぁ、バージル?

そう言って、皮肉そうに嘲笑したワルターを見たバージルも、そうだな、とまた笑った。



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