fireworks

「花火?」

同じクラスでサッカー部のマネージャーを務めている名前からの急な誘いだった。

みんなで花火か…
そういえばそんな集まりやったことなかったような。
小さい頃はやってたかもしれないけど。

「うん。サッカー部のみんなで。…嫌とか今夜予定入ってるなら別にいいんだけど。」
「いや、特に予定も入ってない…まあたまにはそういうのもいいかな。」
「お。じゃあ今夜8時に集合ね。」
「ああ、分かった。」

名前がいるなら、と勢いで参加すると言ってしまった。
まあ鬼道達も参加すると思うし大丈夫だろう。

++++++

「−えっと、これで全員…かな?」

結局は俺と名前と源田と咲山と成神と洞面と万丈と寺門だけだった。
他のやつらは塾がどうとか、予定があるとかで参加出来なかったらしい。
まあ全員揃うなんてことはありえないと思うが。

「まあこんなもんじゃないっすか?2人とかじゃないだけましだと思いますよ。」
「うーん…確かにそうだね。」

俺が予想していたよりかは多いと思う。

「…まあ今日いきなり誘ったんだもん。予定あるのも仕方ないよね。」
「何か俺達暇人みたいじゃねえか。」
「う…。予定なくても何かしらやることあるんだよ…ね?」
「俺は一応勉強もする予定だったが、少しくらいはいいかと思って来たぞ。」
「ほ、ほら!」
「まじかよ。」
「まさか佐久間くんは暇人だったとか」
「ち、ちがっ……俺だって勉強とか一応やることあったからな!」
「ほんとにー?」
「何だよ…!」

名前からの誘いなんて、他に重要な用事がなかったら滅多に断れないに決まってる。

俺は素直に本当の気持ちなんて言える勇気も自信も持ち合わせてない。
どうして素直になれないんだろうな。

「…まあとりあえず、花火、始めますか。」
「そうだな。」
「俺花火とか久々だ。」
「俺もー」
「俺もっす」
「俺も」
「何かみんなあんまりやらないもんなのなのだな。」
「そんな源田は毎年やってんのかよ。」
「まあな」
「え」

++++++

「最後は線香花火で誰が最後まで残れるか勝負しない?」
「それおもしろそうですね」
「俺は賛成っす」
「まあいいと思う。」

「じゃあ…よーい、どん!」
やっぱその掛け声か。

名前の合図でみんな一斉に線香花火に火をつけた。

「あ…」
「万丈終わるのはっや!」
「…あ。寺門も終わったな。」
「うっわ、俺もかよ…」
こんな意味もない勝負で盛り上がったのはいつ以来だろうか。

++++++

優勝は名前だった。意外と。

「名前さん凄いですね!」
「へへへ。こういうのは得意なんだ。よく友達と競ったりするから。」
「へえ…」

++++++

…たまには素直に言ってみようと思う。
何でそんな気分になったんだろう…

「名前!!」
「ん?どしたの、佐久間くん。」
「今日誘ってくれてありがとな。楽しかった。また誘ってくれ。」
それだけ言い残して、帰った。


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